ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序  庵野秀明・総監督

ポルノ映画だって、行為をしている男女がどんな人間であるかが描かれていなければ、あるいはそういう関係になるまでのことが説明されてこなければ、面白くない(?)だろう。いきなりそういう映像だけを延々と見せられても、モチベーションも何もないので感情移入も出来ない。それは単なる「裏ビデオ」(こんな言葉も死語か)である。例えてみればこの映画もそんな感じ。初見の人間にこれではあまりに不親切すぎる。
状況も何も分からずにいきなりの戦闘シーンである。ある少年がその戦闘マシーン(例によって巨大ロボット型でその中に入るのだが)を操縦することになる(開発者は父親らしい)が、その少年でなくとも「なぜ彼がそんなことをするのだ」と思わざるを得ない。しかも訓練もほとんどしないで相棒の女の子と一緒に出て行くのである。司令部の女性も家に帰ると「獺祭」(だっさい。実在する日本酒の名前)を飲んでいて、それをことさら見せている。
町が地下からにょきにょき生えてくる(というより危険が迫ると格納していて、平時には普通になるわけで、生えてくるわけではないが)シーンなど映像的には面白い所もあるのだが、とにかくこの第一作は今までの『エヴァンゲリオン』を知らないものにとっては、退屈で不親切な作品である。『エヴァンゲリオン』を知らない人間が見に来るんじゃねえよ、と言われているような作品。